専修大学育友会
第60回全日本大学サッカー選手権大会 初出場・初優勝までの軌跡
〜関東大学サッカー1部リーグ初優勝〜
体育会サッカー部
執筆者 経営学部経営学科3年 櫻井 暁大
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8. ターニングポイント 〜主将の離脱を乗り越え〜

チームの大黒柱であり、チーム全体にパスを供給していた主将の庄司も脚部にちょっとした怪我を抱えながらプレイを続けていた。そして、迎えたリーグ第14節駒澤大学との一戦を迎える。大雨が去りゆく強風の中での試合だった。この試合の前半26分に庄司が負傷退場で交代を余儀なくされる。そして、相手に前半のうちに2点を先制され、苦しい展開になった。主将を欠き我慢の前半を2点差で折り返した。シュート数はたったの1本だった。ハーフタイムには後半に風上になることを意識し強気にいこうと朴泰希(当時経済4)や松本陽介(当時商4)、DF の要である鈴木雄也(当時経済3)といった後ろの選手がチームを鼓舞する。

そして迎えた後半、怒涛の攻撃を見せる。まず後半13分、鈴木とDFラインを組む栗山直樹(当時法3)のゴールで口火をきったチームは後半だけで10本のシュートを打ち、4点を相手から奪い、大逆転勝利を収める。栗山はこの試合でDFであるにもかかわらず1試合で3点を取るハットトリックを達成した。

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2012年1月5日、第60回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)にて優勝
庄司を欠きながらも、勝利を収められたが、翌週15節は当時のロンドンオリンピック代表を3人抱えていた名門、流通経済大学だった。庄司の代わりに入ったのは星野有亮(当時経済1)、夏を経て1年生ながらも競争を勝ち抜いた選手である。怪我をしている庄司がベンチワークに取り組む中で、選手は前半からシュート11本後半10本を放ち、日本代表を擁する流通経済大学に3−0の快勝を収める。この試合でゴール、アシストを決めたのは仲川輝人(当時商1)、東大樹(当時経済1)、そして庄司の代わりに入った星野である。1年生トリオの活躍で大事な一戦を勝利で収めることができた。大黒柱を欠く2試合に勝利したことでチームの勢いと自信は確実なものになった。

9. 負けないだけでなく 攻撃的で美しいサッカー

主将の庄司がチームに戻り盤石の態勢が整った。「攻撃的で美しいサッカー」というフレーズが少しずつ大学サッカーに広がっていった。上位決戦となった早稲田大学、筑波大学との2試合ではこの1年でエースに成長した長澤和輝(当時経営2)が決勝点を決め勝利し、1部リーグの首位に立つ。国士舘大学との試合でもシュート20本を打ち6−0の快勝を収める。青山学院大学や慶應義塾大学との試合では引き分けたものの、シュート数が相手を圧倒的に上回った。

そして、最終節、神奈川大学戦。2位の明治大学と勝ち点差は3、得失点差は9に広がりほぼ優勝を手中に収めていた。あの、苦手な中央大学から我慢しながらも得た勝ち点1のおかげで「負けても大きな問題にならない」、むしろ変なプレッシャーから解放され、自分たちのサッカーを貫きやすくなった。最終節も源平監督と岩淵コーチの下で貫いた、攻撃的で美しいサッカーで8−0の完勝。文句なしの関東大学サッカー1部リーグ初優勝を収めた。

10. 俺はできる

優勝した後の荻野競技場前で、全員で誓ったインカレ優勝と「俺はできる」の三唱。リーグ開幕時に掲げた大きな目標に近づいた。しかし、こうして大きな目標を掲げ、「俺はできる」と思わなかったらこういった結果にはならなかったかもしれない。高い意識と問題改善、主将を中心に「俺はできる」と言い聞かせた努力の結晶である。

全22試合で総シュート数323本、総得点58点、一試合平均得点2.64点は全チーム中ダントツの数字だった。そして、2011年12月18日〜2012年1月5日で行われた平成23年度第60回全日本大学サッカー選手権大会でも1回戦福山大学戦では9−2で勝利、続く準々決勝同志社大学戦でも4−1で勝利。クリスマスの準決勝前年度インカレ準優勝の中京大学戦は2−0。そして、明くる2012年1月5日、関東勢同士の決勝となった明治大学戦でも、3−0で勝利を収め、攻撃的で美しいサッカーで開幕前に主将の庄司が掲げたインカレ優勝を成し遂げた。

「俺はできる」というのは何もサッカーだけではない。毎試合欠かさず応援していた部員も試合に出ている選手と同じように、毎朝の部活に取り組んでいた。「俺はできる」と円陣で組んで三唱することによって結束力を高め、チームが一つの目標に向かって進んでいけたのだと思う。これは「社会で活躍できる人材の育成」、「人間力を高める」というチームの理念にも通ずる。私たちは部活動を通じて結束の力と、信じて実行する力によって夢を叶えられるということを、身をもって実感することができた。

このメンタリティーは、今年度の主将に任命された鈴木雄也(経済4)を中心に継承され、今年度のアミノバイタルカップ、総理大臣杯では、初出場、準優勝。今年度の関東大学リーグでは2012年10月20日現在、関東大学サッカー1部リーグ首位をキープし、インカレ連覇に向けて日々の活動に励んでいる。

※作品応募後、体育会サッカー部は関東大学サッカー1部リーグを連覇、第61回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)にてベスト8の成績を収めています。

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