私は、平成22年8月に行われたレスリング全日本学生選手権大会で優勝することができました。私が全日本学生選手権大会で優勝するまでには、私を成長させてくれるたくさんの経験が専修大学でありました。その経験を乗り越える時には多くの人の支えがありました。親であったり、監督・コーチの厳しい指導であったり、OBたちの指導であったり、部員のみんなであったり、たくさんの人に支えてもらいました。全日本学生選手権大会で優勝できたのはそのような人たちのおかげだと思い、皆さんに感謝しています。
私は専修大学に入学し、レスリング部に入部しました。専修大学のレスリング部は毎日早くから朝練習を行い、夕方からもマット練習を行い、とても厳しい部活でした。始めのうちは練習についていくのがやっとで、昼間には授業もあり、体力的にとても厳しかったです。
そして、5月の始め、何とか練習にも大学にも慣れ始めてきたころに、入学前から身体を壊していた父親が他界してしまいました。それが大学生活で、初めての大きな経験でした。その頃はちょうど一番精神的に弱っていた時期でもあり、体力的にも大学でやっていけるかすごく悩んでいました。そのことと父親を亡くしたショックが重なってとても弱気になり、自分は大学をやめるしかないのかとまで思いました。
それに加えて、実家は金銭面的にも裕福な方ではありません。お金の面でも大学生活を送っていくことが大変になってしまうため本気で大学をやめようと考えました。しかし、そんな私に家族は「家のことやお金は心配しないで東京でやりたいことをやって頑張ってこい」と言ってくれました。父親も私がレスリングで活躍することを願っていると思う、と言われとても嬉しく思いました。しかし、私が大学をやめれば経済的にも家族がうまくいくことは分かっていたので、家族に迷惑をかけてまで大学に残る意味があるのか本当に悩みました。
ただ大学で頑張ろうとは高校の時に決めたことでしたので、いま一度、家族に甘えて大学で頑張ろうと決心しました。このような気持ちになれたのは、兄が私の状況を理解してくれて、「お金のことは気にするな」と言ってくれたことが大きかったです。兄が父親代わりになってくれて、私のことをサポートしてくれました。そのほかにも、監督やコーチが練習の時に気持ちの面でサポートしてくれて、大学に戻って来やすい状態にしてくれました。
しかし、気持ちはなかなか晴れることはなく練習に集中することが難しいことがありました。そのようなときは、同期のみんなが励ましてくれてみんなと頑張ることができました。このときに私は専修大学を選んで良かったなと思えました。父親を亡くした経験は私の中でとても印象深いもので、この経験が私を成長させてくれたと思います。 |