専修大学育友会
平成21年度 全日本大学対抗テニス王座決定試合出場までの軌跡
―関東リーグ1部準優勝―
専修大学体育会女子テニス部
主務 石塚 桃子(法学部4年)
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5、専修大学が王座出場を手に入れるまで

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王座に向けて、今の16人による新体制が始まったのは2008年の10月、関東大学対抗テニスリーグ、通称秋リーグという団体戦であった。この大会から、専大は例年と異なり2チーム出場することにした。そうすることにより、全員が団体戦において選手として活躍する経験ができ、全員が選手として活躍する以外のサポートの部分を経験することができるという利点があった。また、「16人全員が関東予選を勝ち上がり、関東学生になる」という目標を掲げ、チーム力の底上げを図ろうとしていた私たちにとっても必要なことであった。

結果は、Aチームが4連覇、Bチームが第6位に入賞することができた。2チーム以上出場している他のどの大学よりも、いい結果を得ることができ、専大のチームの総合力を見せつけることができた大会であった。

次は最初の個人戦である関東学生対抗新進テニス選手権大会。この大会は、関東学生ランキング20位以内の選手は参加することができないため、出場者誰にでも優勝するチャンスがある大会であり、春に行われる全日本学生テニス選手権大会の予選である関東学生テニストーナメント大会のシードを決めることにもなる重要な大会である。この大会では、シングルスにおいてベスト4に1人、ベスト8に1人、ベスト16に3人が入賞するなど専大の存在感を示すことのできる大会となった。しかし、私たちはこの結果に満足することはなかった。

そのあとすぐ行われた春合宿。ここにおいても今までとは異なる練習方法、トレーニング方法、ミーティング内容を取り入れていった。例えば、みんなで同じ練習をするだけでなく、ひとりひとりの課題を明確にし、課題を克服できるような練習メニューを作成していった。また、トレーニングにおいてもただきついトレーニングだけでなく、テニス以外の異なるスポーツを行ったりして総合的にバランスがよくなるように工夫した。いよいよ始まる春からの試合に向けて、部員全員が必死に頑張った合宿であった。

そして、いよいよ春。関東学生テニストーナメント大会が目前にせまり、練習中も今までとは違った緊張感があった。私たち4年生にとっては、最後の全日本学生テニス選手権大会、通称インカレへの出場のチャンスだった。

結果は、シングルスにおいては10人、ダブルスにおいては3組がインカレの切符を手にすることができた。4年生から3人、3年生から1人、2年生から4人、1年生から2人。関東からは、54人がインカレの資格を手にすることができるのだが、そのうち16人しかいない専大テニス部から10人もの選手がインカレに出場できるという、ここ数年にみられない快挙であった。今年の専大は、何か違う、何か変わったと実感できる大会になった。

また、今大会からすごく気になったのは、応援の力である。部員が全員でも16人しかいない私たちだが、人数が少ない分ひとりひとりの思いも強く応援がかなりの支えになっているのである。個人戦であるこの大会においても、応援のパワーに変わりはなかった。自分以外のチームメートが頑張る姿を見て本気で応援できるチームであることをとても誇りに思った。

それから夏の大会ラッシュが始まるまでは、あっという間だった。その間は部活での練習だけでなく、全日本選手権大会のかかる一般のオープン大会にも積極的に参加し、試合での経験も積み、夏の大会に備えた。

いよいよ夏が始まった。まず始まったのがインカレ、全日本大学テニス選手権大会であった。この大会は学生の頂点を決める大会であり、各地域の予選を勝ち抜いた、全国の大学生128人、64組が日本一を目指して戦いを繰り広げる大会である。

この大会で、専修大学の大きなパワーを見せつけることができた。女子ダブルスにおいて、関東の予選から勝ち上がり、本大会でもノーシードであった重藤・難波(文2・文1)が優勝することができた。

優勝の感動は、言葉では言い表せないものだった。インカレに出られなくても試合に毎日応援に来てくれた部員、自分が試合に負けた後も応援にかけつけた部員、全員が一緒になって、1試合1試合一生懸命戦う仲間を応援した。見事に結果を残した2人の姿は本当に輝いて見えた。そして、さらに嬉しいことがあった。優勝した二人が、口をそろえて「チームの応援にすごく支えられた」と言ってくれたことであった。専大は個人戦でもチームで戦っていると思える言葉であった。

この時点で、関東リーグまでは残り1カ月を切っていた。専大の誰もが、いい流れが来ていると思っていた。

しかし、そう簡単にはいかなかった。続いて行われた夏の関東大会、関東学生テニス選手権大会。これは、関東大学リーグ前の最後の大会であった。この大会も例年4年生がほとんど出場しないため、3月に行われた関東学生新進テニス選手権大会と同様、誰にでも優勝するチャンスがある大会であった。専大の選手も、当然優勝を狙っていた。

ところが、まさかの予選敗退や、1回戦敗退が続出したのだ。かなりショックな出来事であった。インカレでの勢いは全く感じられず、あっという間に夏の関東学生テニス選手権大会は終了してしまった。

大会が終わってから関東リーグまでは、1週間しかなかった。私たちに落ち込んでいる暇はなかった。すぐに、リーグ前合宿が学校で行われた。そこからはレギュラー組とサポート組に分かれ、それぞれが役割に徹した。レギュラーは勝つために必死でボールを追いかけ、サポートは選手のために自分の練習の間も惜しまず選手のことを考えた。

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そして、ついに9月10日。関東リーグが開幕した。去年第4位だった私たちの第1戦目の相手は、去年3位の日本大学。この試合に勝たなければ、王座の夢は一気に遠ざかる。ただ、勝つことだけ考えて16人全員で向かっていった。最後まであきらめずに戦った結果は4−3での勝利。なんとか手に入れた勝利を、次につなげたかった。

第2戦目、去年第2位の亜細亜大学戦。ここ何年も、1度も勝ったことのない相手である。第1位の早稲田大学と対戦する前に黒星をつけるわけにはいかなかった。ダブルスを終え1−1。チャンスはあった。しかし結果は3−4で惜敗。とても悔しかったし、王座への可能性が一気に少なくなってしまった。しかし、私たちは諦めることはなかった。

第3戦目で早稲田大学にこそ負けてしまったが、その後の筑波大学戦では厳しい試合を勝ち取り4−3で勝利すると、最終戦も東洋英和女子学院大学に5−2と危なげなく勝利をおさめ、最終的に私たち専修大学は、3勝2敗。

例年では、5勝0敗のチームが優勝、ついで4勝1敗のチームが準優勝となっているため、今回も王座出場は厳しいかと思われた。

しかし、今年の関東大学リーグは大混戦であった。4勝1敗のチームがなく3勝2敗のチームが2校あり、それが専修大学と日本大学だったのだ。そして直接対決で勝っている専修大学が、第2位になった。つまり、最終戦の東洋英和女子学院大学に勝った瞬間に、私たちが第2位となり、念願の王座出場が叶った。

言葉が出なかった。信じられなかった。ただ、涙があふれ、みんなと抱き合った。

また、ただただ一緒に頑張ってきた仲間に、監督に、コーチに、関係者すべてに感謝の気持ちでいっぱいだった。みんなが口をそろえて、16人で戦おうと誓い合った団体戦。結果を残せたことは本当に嬉しくて、感動的だった。

チーム力がどの大学よりも勝っていたからこその結果だと胸を張って言えるだろう。最終日に笑顔で終われて、本当に最高の気分だった。

しかし、これで終わりではないのである。本当の勝負はここから。私たちは王座出場が決まった瞬間から日本一を目指す次のステージに進んでいるのだ。

私たちは、今までテニスに思う存分打ち込むことができた。それだけに、結果が期待されているのだと思うと、自然と練習にも力が入った。監督を初めコーチ、OB、OGも日々私たちの活動を支えてくれた。また学校からも様々な支援を受け、また実際に試合会場に足を運んで応援してくれたことは大きな励みになった。家族や、その他にも私たちを応援してくれた人たちは、振り返ってみると大勢いる。本当にたくさんの人の支えがあったからこその王座出場だと思う。

私たちは部活動を通じ、自分たちの力を信じ、仲間を信じて最後まで諦めずに戦えば、必ず夢は叶えられるということを身をもって強く実感することができた。この関東リーグ準優勝という最高の経験は、今後の人生の中で何をするにおいても、私たちに強い力を与えてくれることになると思う。

日本一の大学チームを決める全日本大学対抗テニス王座決定試合が10月28日、開会される。

この最高のチームで、戦えるのも本当に最後である。16人全員で最後に日本一になって、最高の笑顔で終われるように完全燃焼したい。
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