専修大学育友会
オペラ「八犬伝」台本制作の記録
文学部
幸田 尚恵 ・ 中島 美和 ・ 雪下 恵梨香
前のページ  1  2  3  4  次のページ
まとめとして

台本を制作した10ヶ月。当時はとても長く感じたが、振り返ってみるとあっという間に過ぎてしまったような印象だ。学年を超えてメンバーが協力し、ひとつの作品を作り上げたということで、私たちはそれぞれ、一回りも二回りも成長できたように思う。また、物語を書くということは私たちに普段は何気なく見過ごしてしまっている事を改めて気づかせてくれた。咲く花の美しさ、光の明るさ、闇の暗さ、人の心の多様さ、生きることの尊さ・・・。この10ヶ月で残ったものは決して作品だけではなかった。形あるひとつの台本以上に、私たち自身が大きな財産を得たように思う。

現在、オペラの稽古は着々と進んでいる。私たちもお願いして、何度か稽古場を見学させてもらっている。私たちの書いた人物が目の前に立ち、私たちの書いた台詞を歌っている。紙面に文字だけで表現された「オペラ八犬伝」の世界が作品として広がっていく。この作品が音楽面、美術面において、見事に人々に訴えかけるような作品に創り上げられていく。この感動はとても一言では言い表せない。

全ての作業を通して、作曲家の仙道氏、美術担当の井黒佳穂子さん、私達台本制作メンバーの互いの意思疎通を円滑にまとめてくださったのが板坂教授だった。教授がいたからこそ、様々な壁にぶつかってもメンバー同士で最後まで諦めることなく、台本制作という大きな仕事に挑めたのだと思う。この機会を私たちに与えてくれた教授には本当に感謝している。

そして、当時二年生だった私達も、大学生活の半分を制作に費やした「オペラ八犬伝」の上演とともに卒業していく。1月の上演に向けての準備が進んでいくにつけ、期待感とともに、一抹の寂しさを感じる。

ぜひ、多くの人にこのオペラを観て欲しい。この「オペラ八犬伝」を観て、何か心に感じてもらえたのなら、私たちにそれ以上の喜びはない。
前のページ  1  2  3  4  次のページ