専修大学育友会
司法試験現役合格
法学部 法律学科 4年 鈴木 康祐
「司法試験に現役合格」

1.初めに

私は、このたび司法試験に現役で合格することができました。この司法試験現役合格は、大学入学当初からの大きな目標でしたが、そこにたどり着くまでは、なかなか険しい道のり、そして、さまざまな人との出会いがありました。この道のりを、簡単にですが紹介させていただきます。

2.司法試験受験のきっかけ

私が司法試験受験を決意したのは、高校3年生の夏のことです。この時期は、それまで抱いていた競艇の選手になるという夢が実現不可能なことを知り、初めて将来のことを真剣に考え始めた時期でありました。しかし、いくら考えても自分が何をしたいか分からないので、それを考える時間を確保するためにとりあえず大学に行くことに決めました。そして、大学受験のために予備校に通い始めると、勉強が意外に楽しいことに気づき、もっと勉強がしたいと思うようになりました。そこで、どうせ勉強をするなら一番難しいと言われている試験のために勉強しようと思い司法試験の受験を決意しました。このように、私が司法試験を目指した理由は、非常に味気ないものです。

3.大学1年生

大学に入学すると、エクステンションセンターという学内で開催されている司法試験講座のガイダンスがありました。そこで、実際に弁護士として活動をされている先生と初めてお会いしました。先生のお話は、ひと言ひと言重みがあり、司法試験に対する思いが強くなりました。そのため、エクステンションセンターに申し込み、早速司法試験の勉強を始めました。

この頃は、やる気に満ち溢れていたので、空いている時間があれば勉強をしていました。例えば、授業が2限から始まるのであれば、1限から学校に行き、図書館で勉強をしたり、昼休みも、食事を食べながらエクステンションセンターの講座を録音したテープを聞いたりしました。また、学部の授業が終った後も、図書館に残り閉館時間まで勉強をしていました。それから、休みの日は近くの図書館に行き、開館時間から閉館時間まで勉強をしていました。本当にこの頃は、3度の飯より勉強という日々を送っていました。しかし、勉強が辛いという感覚はほとんどなく、むしろ、楽しいという感覚の方が強かったと思います。その理由としては、法律の勉強は、新たな発見の連続で、知的好奇心を大いにくすぐったこと、また、エクステンションセンターの方が司法試験合格を身近なものとして感じさせてくれたこと、さらに、エクステンションセンターの講座は弁護士の先生によって講義されるのですが、その講義がとても分かりやすかったことが挙げられると思います。

1年生の11月からは、エクステンションセンターの主催する、合格者の方によるゼミナールに参加させていただき、初めてゼミナールというものを体験しました。ゼミナールは、自ら主体的に授業に参加していくという点で、これまでの講義とは大きく異なっていました。ここでは、授業に主体的に参加していくということで、これまであまりすることのなかった予習に力を注ぎました。そして、ゼミで発言をすることで、少しずつですが、知識が定着していったように思います。

1月の後半からは、期末試験が始まりました。私は、法律だけしか知らない弁護士にはなりたくないと思っていましたので、一般教養などの勉強にもかなり力を注ぎました。その結果、司法試験の勉強をする時間はほとんどなかったのですが、1日に30分でも1時間でもいいからするように心掛けました。もしかしたら、このような小さな努力の積み重ねが、司法試験現役合格という大きな結果を生んだのかもしれません。

4.大学2年生

大学2年生になって、校舎が生田から神田に移ったこの時期、実はこの頃は、勉強がなかなか手につかない時期でありました。その直接の原因となったのは、サッカーワールドカップですが、その裏には、1年次での勉強の疲れというのがあったのかもしれません。友達がよく言っていた「1年からあまり頑張りすぎると息切れするよ」という言葉が、脳裏にいつもくすぶっていました。勉強に集中できない自分が嫌で、精神的に辛い時期でした。

このような時期から抜け出すきっかけとなったのは、夏休みに地元である静岡に帰り、友達と遊んだり、海に行ったり、川に行ったりしたことです。夏休みに英気を養って、秋からまた司法試験の勉強に励みました。

秋になると、大学生の一大イベントであるゼミナール選びが始まりました。ここで、私は司法試験現役合格に欠かすことのできない出会いをすることになりました。それは、佐々木和夫先生のゼミとの出会いです。このゼミは、刑法を勉強するゼミですが、少人数であり、かつ、勉強熱心な方が多いです。そして、司法試験を目指す先輩、同期もいました。このゼミで、法律の解釈の方法を佐々木先生から学ばせていただき、それと同時に、3年生のときに短答式試験に合格された先輩から、問題の解き方や勉強方法を教えていただきました。このように、すぐ身近に合格された先輩がいたことで、いつでもアドバイスを受けることができましたし、なにより、そのような先輩が身近にいるというだけで、とても強い刺激になりました。

このころは、昼は学部の講義に出て、それが終り次第図書館に行き、夕食を学食でとって、閉館時間である10時まで勉強して、家に帰ったらまた勉強をするという生活を送っていました。家に帰ってからも勉強ができたのは、おそらくテレビを実家に送り返したので、勉強を妨げるものが何もなかったからであると思います。このような調子で、日々勉強を続け、大晦日も正月も休むことなく勉強をしていました。

そして、期末試験が終わり、春休みが始まった頃から、今まで以上に勉強に集中しました。具体的にどのような生活を送っていたかを知っていただくために、ここで、この時期に送っていた平均的な生活を紹介します。まず、朝は7時30分くらいに起床します。そして、8時くらいに電車に乗り、9時に高田馬場にある予備校の自習室に到着します。それから、12時くらいまで勉強をして、昼ごはんをとり、13時くらいからまた勉強を始めます。その後は、15時くらいに30分くらい休憩をとり、17時くらいにまた1時間くらい休憩をとり、19時くらいから夕ご飯を食べ、21時になったら帰宅していました。帰りの電車では、新聞などを読んでいました。そして、家に帰ってからは、司法試験とは直接関係のない趣味の法律の勉強を1時間30分くらいしていました。そうすると、眠るのはだいたい1時くらいになります(睡眠時間は、6時間30分くらいです)。このように、1日およそ10時間〜11時間くらい勉強していました。

このころは、本試験が近いこともあり、集中力は高まっているものの、毎日このような生活を続けるのは、なかなか難しいものです。そこで、私は次のようなことをして集中力を持続していました。一つは、自習室の中で、自分のライバルを作り(勝手に決め付けただけで、名前すら知らない人です。)、その人より少しでも多く勉強しようと心掛けました。もう一つは、模試などを受けて点数が良かったときなどは、自分へのご褒美として少し高い物を食べるようにしていました。

5.3年生

そして、いよいよ本試験(短答式試験)がやってまいりました。初受験ということもあり、試験が始まるまではとても緊張しましたが、試験が始まると、いつも通り解くことができました。その結果、手応えはあまり良くなかったのですが、なんとか合格していました。3年生で短答試験合格、4年生で最終合格というのが私の計画でしたので、本当に嬉しかったです。

その後は、論文試験の勉強をしたのですが、何をしたらよいかも分からず、答案練習会などに流されて勉強をしていました。そして、論文試験を受けましたが、手応えは全くないという感じでした。それから、待ちに待った夏休みが始まったので、久しぶりに地元に帰り、思いっきり遊んできました。

秋になると、論文試験の結果発表があり、予想通り不合格でした。しかも、総合成績 G 評価という最悪の結果。しかし、不合格は確信していましたし、評価が悪いのも分かっていたので、全く落ち込んだりはしませんでした。

このころから、エクステンションセンターの主催する弁護士の先生によるゼミに入れていただきました。このゼミは、実力者の方が多く、過去何人もの合格者が生まれているゼミです。先生が面白い方でしたので、ゼミではいつも大笑いをしていました。したがって、むしろストレス発散になったくらいです。そして、このゼミの先輩は、非常に優秀で、また後輩の面倒をよく見てくれる方でしたので、いろいろなアドバイスを常時受けていました。本試験前日のまで、電話をかけさせていただき、答案の書き方や、本試験の心構えを教えていただいたほどです(もちろん、この先輩も今年合格されています。)。

振り返って見ますと、私は本当に良いゼミ、先生、先輩に巡り会えたと思います。この巡り会いには、もちろん私の持っている「運」によって引き寄せたという面もあるのでしょうが、それ以上に、「努力」というのが大きな役割を果たしているように思います。というのも、このゼミは少しハードルの高いゼミですので、もし努力を続けていなければ入ることはできませんし、また、努力を続けていなければそもそも入ろうとも思っていなかったと思うからです。さらに、先輩も私が努力を続けているからこそ、アドバイスをしてくれたのだと思います。したがって、「運」というのは、実は「努力」によって引き寄せるものだと思います。

6.4年生

4年生になってすぐ、短答式試験を受け、前回と同じように合格することができました。この年は、2回目ということもあったので、あまり一喜一憂せず、次の日からすぐ論文試験の勉強を始めました。短答試験後、論文試験までは、すさまじい勢いで勉強をしました。一日、12時間以上はやっていたと思います。ところが、この一番大切なときに風邪をひいてしまい、3、4日勉強ができない日もありました。健康管理の大切さを身をもって実感しました。

論文本試験の日、一番初めの科目である憲法の試験を受けたときに、何を書いてよいか全く分からず、ふと「なんて難しい試験なのだろう。このような試験に本当に自分は合格することができるのだろうか。」と、今まで感じたことのない将来の不安を感じました。ただ、憲法で大失敗したことで、かえって肩の力が抜け、その後の科目において自分が本来持っている力を出すことができたのかもしれません。そして、最後の科目である刑事訴訟法が終ったときには、ものすごい開放感を味わいました。この気持ちを、どうにかお伝えしたいのですが、残念ながらとても文章では表しきれません。

それから、夏休みを地元で過ごし、秋になって合格発表がやってまいりました。この年もそれほど良い手応えを感じていたわけではないので、不合格を確認するくらいの気持ちで発表を見に行きました。すると、なんと私の受験番号がありました。このときは、本当に自分の目を疑いました。そして、冗談ではなく夢ではないかと思いました。

喜びは束の間、次の口述試験まで2週間しかないという現実に直面しました。しかし、動揺して何をすべきか分からず戸惑っている私に、手を差し伸べてくださったのは、やはり専修大学の皆様でした。まず、エクステンションセンターは、予備校で行われる口述試験の模試の日程を組んでくださりました。次に、ゼミの佐々木先生は口述試験の心構えを教えてくださり、また、山田教授は「君なら受かる。頑張れ。」と励ましてくださりました。さらに、エクステンションセンターのゼミの先生は、口述試験までにすべき勉強は何かを教えてくださりました。さらに、先輩方にもいろいろなアドバイスを受けました。

口述試験当日は、なかなかうまく答えることができず、かなり落ち込みました。しかし、3日間にかけて行われる試験なので、落ちこんでいてもしょうがないと思い、焼肉を食べ、自分を励ましました。

そして、なんとか司法試験現役合格を勝ち取ることができました。

7.最後に

このように振り返ってみると、本当にさまざまな方の支えを受けて合格することができたのだと改めて思います。専修大学、諸先生方、先輩、友人、エクステンションセンターの皆様など挙げようと思えばきりがないくらいです。特に、専修大学には感謝すべきことが多く、もし私が専修大学に入っていなければ、この合格は絶対になかったと思います。というのも、専修大学は、エクステンションセンターという素晴らしい司法試験の講座を開設してくれているばかりでなく、頑張っている方を応援するという姿勢の下さまざまな援助をしてくれているからです。例えば、頑張っている受験生には予備校に通う講座料を負担してくれたり、短答試験に受かった者、それから最終合格した者には経済的な援助をしてくれます。そのほかにも、さまざまな支援を行ってくれています。

このような方々に対する感謝の気持ちを忘れず、そして、さらなる目標に向かってこれからも邁進していきたいと思います。